Salesforce サービスコンソールに Web チャットを導入する方法

Salesforce サービスコンソールに Web チャットを導入する方法

みなさん、こんにちは!
Salesforceエンジニアの森川です。
今回のテーマは「サービスコンソールのWebチャット導入」です。
顧客対応のスピードは、満足度を大きく左右する要素です。電話やメールに加えてWebチャットを導入することで、問い合わせに即座に応答でき、初動の遅れを防げます。Salesforceのサービスコンソールにチャット機能を組み込めば、ケースやナレッジを同一画面で活用でき、業務効率と顧客体験の両立が可能です。本記事では、そのメリットと設定手順をわかりやすく解説します。

サービスコンソールとは?

サービスコンソールは、カスタマーサポート業務を効率化するための統合型ワークスペースです。従来の画面操作では、ケース・ナレッジ・顧客情報・アクティビティを行き来しなければならず、応答のスピードや正確性に課題がありました。

コンソールを利用すると、以下のような特徴があります:

  • タブ型 UI によるマルチタスク対応
  • ユーティリティバーでオムニチャネルやマクロをすぐに呼び出せる
  • ケース、顧客情報、ナレッジ記事を1画面で参照可能
  • エージェントの負担軽減と顧客体験の向上

ここにWebチャットを追加することで、「問い合わせが入った瞬間に、ケース作成・ナレッジ参照・応答」を同じコンソール内で完結できる環境を実現できます。
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Web チャットを導入するメリット

・即時性による顧客満足度向上

顧客は待たされることを嫌います。Web チャットなら、フォームやメールよりも早く回答が得られるため、解決までの時間を短縮できます。

・業務効率の改善

ケース・ナレッジ・顧客情報を同じ画面で参照できるため、チャット対応中でも履歴確認や回答準備がスムーズ。属人化を防ぎ、均質な対応が可能です。

・オムニチャネル戦略の実現

チャットは電話やメールに加えた「もう一つのチャネル」として組み込めます。優先度やエージェントのキャパシティを考慮した自動配分が可能となり、業務負荷を平準化できます。

・管理・監督機能の強化

スーパーバイザーは Omni Supervisor を通じて会話の監視、リアルタイムプレビュー、指示出しが可能。新人教育や対応品質の担保に役立ちます。

設定手順:サービスコンソールに Web チャットを追加する

ステップ1:チャットキューを作成する

まず最初に必要なのは「チャットを受け付ける箱(キュー)」です。
電話で言えば「コールセンターの回線番号」、メールで言えば「受信用アドレス」にあたります。顧客からのリクエストを集約し、担当エージェントへ割り当てる役割を持っています。

操作の流れ

右上の歯車アイコンから [Service Setup(サービスの設定)] を開く

View Allを選択し、 [Chat with Customers] をクリック

キュー名を「Web Chat Queue」など分かりやすい名前に設定し、エージェントを追加

補足

キューを設けることで、誰がどの問い合わせに対応するかを自動で整理でき、対応漏れを防止します。

名前は組織の規模や用途に応じて自由に決められます。「サポートチャット」や「製品A専用チャット」など用途別に分けるのも有効です。

ステップ2:優先度と基本条件を設定する

次に、チャットが他の作業よりどの程度優先されるかを決めます。チャットはリアルタイム性が高いため、メールよりは優先度を高くするのが一般的です。

操作の流れ

「優先度」の欄に「1」と入力して最優先に設定

Work Item SizeAgent Capacity はデフォルトでOK(標準的な負荷管理が適用されます)

Website URLhttps://*.force.com を入力

What’s your type (種別は?)] 画面で、[Service (サービス)] を選択

Required (必須)チェックボックスをオンにする

補足
  • 優先度を数値化することで、同時に発生した作業(例:ケース更新やメール返信)と比べて、どちらを先に処理するかをシステムが判断できます。
  • WebサイトURLの設定は「どこからチャットが呼び出されるか」をSalesforceに知らせるための重要な情報です。

ステップ3:チャットコードスニペットを取得する

チャットをWebサイトに埋め込むためには「スニペット」と呼ばれるコードが必要です。これが顧客側に見えるチャットボタンの正体です。

操作の流れ

設定完了後に [Embedded Service Deployments] を開きViewをクリック

対象のチャット設定を選び、[Get Code] → [Copy to Clipboard] でコピー

安全な場所に保存しておく(テキストエディタ推奨)

補足
  • このコードをサイトやVisualforceページに埋め込むと、訪問者の画面にチャットボタンが表示されます。
  • コードは環境ごとに固有なので、Sandbox用と本番用を区別して管理するのがおすすめです。

ステップ4:Omni-Channelをユーティリティバーに追加する

チャットを受ける準備が整ったら、エージェントが「待機状態」になれるようにする必要があります。それを実現するのが Omni-Channel です。

操作の流れ

[App Manager] でサービスコンソールアプリを編集

Utility Items に [Omni-Channel] を追加

保存後、ユーティリティバーにOmni-Channelが表示されることを確認

ステータスを「Available – Chat」に切り替え

補足
  • Omni-Channelは「配車アプリでいうドライバーの待機状態」と同じイメージです。エージェントが「対応可能」と設定すると、チャットリクエストが自動で割り当てられます。
  • ステータス管理により、勤務中/休憩中/応答可能 を明確に切り替えられるのが大きなメリットです。

ステップ5:Omni Supervisorを有効化する

マネージャーやリーダーは、エージェントのチャット状況を把握し、必要に応じてサポートできる環境が必要です。そこで利用するのが Omni Supervisor です。

操作の流れ

[Supervisor Settings] で「会話の監視」「エージェントプレビュー」「顧客プレビュー」「示唆メッセージ」を有効化

コンソールのナビゲーションに Omni Supervisor を追加

補足
  • 監視機能により「顧客が入力中の内容」まで確認可能。問題が起きる前に先回りでフォローできます。
  • Whisper Message(示唆メッセージ) を使うと、顧客には見えない形で新人エージェントに指示を送ることもできます。

ステップ6:Visualforceページを作成してテスト環境を用意

操作の流れ

実際にWebサイトに組み込む前に、テスト用のページを作成して動作確認します。

補足
  • 本番サイトを触る前に、必ずテストページで動作確認することをおすすめします。
  • Visualforceを利用することで、開発者でなくても簡単に検証環境を用意できます。

ステップ7:CORS設定を行う

異なるドメイン間でリソースにアクセスできるように、CORSを設定します。

許可するURLに https://*.vf.force.com を追加

補足
  • セキュリティ上、Salesforceは「どのサイトからアクセスしていいか」を厳密に管理します。
  • CORS設定を行うことで、顧客が利用するWebページからチャット機能に安全に接続できるようになります。

ステップ8:動作確認を行う

最後に、顧客側とエージェント側の両方でテストを実施します。

操作の流れ

Visualforceページを開き、チャットボタンから顧客として接続

名前を入力し、チャット開始

サービスコンソールのOmni-Channelでリクエストを受信し、応答

実際にメッセージをやり取りし、問題なければ終了

補足
  • このテストで「チャットが受信されるか」「顧客情報が正しく渡るか」を確認します。
  • 初回は必ず管理者が顧客役も兼ねてテストし、運用に耐えられるかを検証しましょう。

まとめ

サービスコンソールに Web チャットを組み込むことで、顧客からの問い合わせをリアルタイムに処理し、サポート体験を大幅に改善できます。オムニチャネルによる負荷分散、スーパーバイザー機能による品質担保、ナレッジやケース情報との統合など、単なるチャット機能以上の価値を提供できる点が大きな強みです。

これからカスタマーサービスのレベルを引き上げたいと考えている組織にとって、Web チャット導入は間違いなく大きな一歩となるでしょう。

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