2025年7月28日にセールスフォース・ジャパンが日本国内提供を発表した「Agentforce 3」。3分でその全貌と進化ポイントを理解できる完全ガイドです。Command Centerの可視化強化、Atlasアーキテクチャ、業界特化アクション、MCP対応など、企業のDXを一気に加速する最新AIオーケストレーションプラットフォームの魅力を余すところなく解説します。
1. 国内提供発表の背景と狙い
2025年7月28日、セールスフォース・ジャパン(本社:東京都千代田区)は、AIエージェント基盤の最新版「Agentforce 3」の国内提供開始を正式に発表しました。
当日は製品統括本部 統括本部長の三戸篤氏が登壇。
「日本では少子高齢化による労働力不足が深刻化し、倒産件数が過去最高を記録しています。Agentforce 3は、“自ら考え行動する自律型AI”として、現場の負荷を軽減し、新たなデジタル労働力を解放する可能性を秘めています」
同社が2024年9月に発表した初代Agentforce以降、2.0・2dxとアップデートを重ねてきた経緯にも触れ、Agentforce 3は「お客さまの声を反映し、可視性・価値創出・相互運用性の3点で進化させた」と位置づけられています。
2. Agentforce 3の三大強化ポイント
完全なる可視性:Agentforce Command Center
「どれだけエージェントが稼働し、品質が担保され、ビジネス効果を生んでいるか」を一目で把握するために開発されたのが Agentforce Command Center です。
- ライフサイクル全体のダッシュボード化
- 会話ログ、自己解決率、商談成約日数などをリアルタイム可視化
- AI改善提案
- 会話タイプごとにタグ分類し、過去100件のやり取りを自動分析、応答精度やワークフロー改善案を提示
- 提供スケジュール
- 基本機能:2025年10月
- OpenTelemetry対応(Splunk等連携):2025年8月予定
短期間での価値実現:業界特化アクションとテストセンター
顧客からの「早期にROIを証明したい」という声を反映し、Agentforce 3では以下を標準提供:
- 200種以上の業界特化AIアクション(Finance、Retail、Manufacturing、Healthcareなど)
- Agentforce Studio テストセンター
- 一括自動生成・実行・評価で、30秒で100件のテストレポートを出力
- PoCから本番展開までのリードタイムを大幅短縮
さらに、AIモデルプロバイダーに ホスト型Anthropic を追加。Salesforceの閉域ネットワーク上でホスティングし、金融・医療などコンプライアンス要件の厳しい業種にも対応可能です。
- 従業員向け非消費利用ライセンス体系 の新設で、スモールスタートから社外展開まで段階的導入を支援。
オープンな相互運用性:MCPネイティブ対応
企業システムや外部データソースとの連携をより容易にするため、**Model Context Protocol(MCP)**クライアントをAgentforceに標準組み込み。
- カスタムコード不要 でMCP準拠サーバーに接続
- AgentExchange を通じた30社以上のパートナーMCPサーバー発見機能(パイロット:2025年10月~)
- 社内外のツールやリソースを「AI版USB Type‑C」のようにシームレスに活用可能
3. Atlasアーキテクチャで実現するエンタープライズスケール
項目 | Agentforce 2dx(旧版) | Agentforce 3(新版) |
---|---|---|
アーキテクチャ | モノリシック寄り、水平スケール限定 | マイクロサービス+イベント駆動(Atlas) コンテナ+Kubernetesによるオートスケール |
性能・スケール | 同時100エージェント、200 msレイテンシ | 同時1,000エージェント、50 ms以下目標、スループット10×向上 |
導入事例:大手通販企業では、月末繁忙期にレイテンシ300 ms超→45 msに改善。コスト効率を維持しながら品質担保を実現しました。
4. マルチモデル+外部連携で拡張される情報源
AIモデル対応の広がり
- 2dx:Salesforce標準モデル(Einstein系)のみ
- 3:Anthropic Claude、Amazon Bedrock、Google Gemini(※2025年内予定)など複数ベンダーのLLMをネイティブ選択可能
- メリット:応答品質/コスト/コンプライアンス要件に応じて最適モデルを使い分け
外部Web検索+自動引用
Bing/Google検索APIと連携し、最新のオープンウェブ情報を取得。応答中に出典URLをインラインマークで表示し、透明性を確保します。FAQ回答の正確性向上や、社内ナレッジとの差分チェックにも活用可能です。
OpenTelemetry連携
Data Cloudに蓄積したログをOpenTelemetry規格でフォーマット化し、SplunkやNew Relicなど統合ログ管理サービスとシームレス連携。AIエージェントのログもSIEMのダッシュボードで一元管理できます。
5. 開発者体験の進化:CLI&VS Code拡張
項目 | 2dx(旧版) | 3(新版) |
---|---|---|
CLI操作 | 限定的 | AF3 CLI:テンプレート生成・CI/CD連携コマンド強化 |
IDE拡張 | なし | VS Code拡張:シンタックスハイライト/Lint/GitOps対応 |
6. 2dx vs 3:主要機能の徹底比較
項目 | Agentforce 2dx | Agentforce 3 |
---|---|---|
監視&可視化 | ロギング単位、ダッシュボードなし | Command Center:リアルタイムKPI+セルフヒーリング |
導入スピード/ROI | 限定テンプレート | 200業界アクション+テストセンターでPoC→本番を高速化 |
コンプライアンス | 標準認証・暗号化 | FedRAMP High/ISO27001/PCI DSS適合+ホスト型Anthropicで閉域通信 |
多言語対応 | 英語・日本語 | GA:英日仏独伊西6言語、30+言語ロードマップ、翻訳品質A/Bテスト |
7. FAQ(よくある質問)
Q1. Agentforce 3 の国内提供時期は?
- 2025年10月:Command Center、MCPパイロット
- 2025年8月:OpenTelemetry対応
Q2. 2dx から 3 への移行ステップは?
- Atlas基盤への切り替え
- Command Centerの設定
- 業界アクション+テストセンター利用
Q3. 価格・ライセンス体系は?
- 従業員向け非消費利用ライセンスを新設、スモールスタートから社外利用まで柔軟対応
8. まとめ
Agentforce 3は企業の“新たなデジタル同僚”として、これまでにないスピード感と安心感で業務を自動化します。数クリックで全体像を把握し、業界別テンプレートを瞬時にビジネスに溶け込ませるだけでなく、必要に応じて外部ツールとも自在に連携できるのが特長です。
さらに、自律的に学び改善を続けるAIエージェントがまるでチームの一員のように現場を支援し、継続的な価値創出を後押しします。
未来の働き方にワクワクしながら、Agentforce 3が切り拓く“次世代のデジタル労働力”を、ぜひあなたの組織でも体感してください。
9. お問い合わせ
現在Salesforceを効果的に活用できていない企業様や、これからSalesforceの導入を検討している企業様で、設定や運用、保守に関するサポートが必要な場合は、ぜひお気軽にご相談くださいませ!