みなさん、こんにちは!
Salesforceエンジニアの森川です。
今回のテーマは、Salesforceの「取引先責任者-to-複数取引先」です。
取引先責任者-to-複数取引先の概要から、その重要性、そして設定方法まで、実践的な視点を交えて解説していきます。
取引先責任者-to-複数取引先とは?
1. 取引先責任者-to-複数取引先の定義
Salesforceの取引先責任者-to-複数取引先機能とは、1件の取引先責任者(連絡先)レコードを複数の取引先(取引先アカウント)に関連付けて管理できる機能です。これにより、一人の人物が複数の企業と関係を持つケースを、一つの取引先責任者レコードで表現できます。標準仕様では取引先責任者は1つの取引先にしか紐付けられないですが、取引先責任者-to-複数取引先を有効化することで、重複レコードを作成することなく人と企業間のリレーションを簡単に整理・一元管理できます。

2. 取引先責任者-to-複数取引先の主要なメリット
重複データ削減
重複する取引先責任者レコードを作成せずに済むため、活動履歴などの情報が分散せず一元管理できます。例えば同一人物を複数レコードにしてしまうと、それぞれに別々の活動が記録されメール送信対象から漏れが発生する等の不都合があります。本機能によりこの問題を防ぎ、データ品質を向上できます。
運用コストの低減
標準機能をオンにするだけで利用できるため、従来必要だったカスタムオブジェクトの作成や重複データの手動管理といった運用負荷が大幅に削減されます。一元化されたデータはメンテナンス性が高く、更新漏れ防止による効率化につながり、結果的にシステム運用コストの低減にも寄与します。
人脈管理の効率化
一人の取引先責任者に紐づく複数企業での役割を一覧でき、複雑なビジネス上のつながりを一元管理して各取引先との関係性を効率的に蓄積できます。営業担当者は人物と各取引先との関係を迅速に把握できるようになり、人脈情報を有効活用しやすくなります。
3.よくある誤解・設定ミス
主取引先と関連取引先の混同
取引先責任者には常に1つの「主取引先」が設定され、「取引先名」項目で指定されます。他の取引先との関係は「関連取引先」として登録され、「直接」または「間接」として区別されます。この構造を正しく理解し、関係性を混同しないように注意が必要です。
レポート・表示に関する制限
「取引先責任者」リストや標準レポートでは主取引先との関係しか表示されません。間接的な関係を可視化するには、「関連取引先責任者」リストの追加やカスタムレポートタイプの作成が必要です。また、リレーション表示は基のレコードの閲覧権限に依存します。
4. 取引先責任者-to-複数取引先の設定方法3選
取引先責任者-to-複数取引先機能を使用するには、まず組織設定で本機能を有効化し、次に取引先と取引先責任者のページレイアウトに必要な関連リストを追加する必要があります。その後、実際の画面からリレーション(関係性)を手動で登録できるようになります。以下、各ステップごとに詳しく見ていきましょう。
設定をクリック
Salesforceにログインした状態で、画面右上にある歯車アイコンをクリックします。表示されるメニューから「設定」をクリックします。

機能の有効化
Salesforceの「設定」から「取引先設定」を検索して開きます。

その中にある [取引先責任者を複数の取引先に関連付けることをユーザーに許可] というチェックボックスにチェックを入れ、保存します。

設定を保存すると、画面上に『有効になっています』というメッセージが表示されれば、機能が正しく有効化されたことを確認できます。

取引先ページに関連リストを追加
オブジェクトマネージャで [取引先]オブジェクト を開き、使用中のページレイアウトを編集します。
レイアウト編集画面の「関連リスト」から [関連取引先責任者] を探し、任意の位置にドラッグ&ドロップで追加します。この関連リストにより、該当する取引先に関連付けられた取引先責任者(主・間接問わず)の一覧を確認できるようになります。標準の「取引先責任者」関連リストでは「主取引先責任者」のみが表示されるため、複数の関連先を把握するにはこのリストが必須です。

取引先責任者ページに関連リストを追加
同様の手順で [取引先責任者]オブジェクト のページレイアウトを編集します。
「関連リスト」から [関連取引先] を追加します。この設定により、各取引先責任者がどの取引先に関連付けられているかを横断的に確認できます。一人の人物が複数の企業と関係を持っていることを視覚的に把握しやすくなり、業務での活用価値が高まります。

リレーション(関係)の追加とロール設定
設定完了後、取引先の詳細画面に表示される「関連取引先責任者」リストにアクセスし、[リレーションを追加] ボタンをクリックします。

ここで既存の取引先責任者を検索・選択し、対象の取引先に関連付けることができます。加えて、その人物が果たす 「役割(ロール)」 を設定できます。ロールを設定しておけば、その人物が各取引先でどのような立場にあるかを明確に記録でき、情報共有や関係管理に役立ちます。

1つの取引先に対して、複数の取引先責任者を正しく関連付けることができました。

5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
本機能を活用することでデータの重複や抜け漏れを防ぎ、顧客との関係性を一元的に把握・管理できます。その結果、営業やサポートの現場において人脈情報を有効に活用でき、ビジネスチャンスの見逃し防止や顧客理解の深化につながります。
また、Salesforce認定アドミニストレーター試験においても、本機能の設定手順や主取引先の概念など基礎的な知識が問われることがあります。本記事で解説したポイント(有効化手順、メリット、主取引先と関連取引先の違いなど)を押さえておけば、実務で役立つだけでなく試験対策にも有効でしょう。
取引先責任者-to-複数取引先機能は、一見地味ながらデータ品質と業務効率を大きく向上させる重要な機能です。初心者の方も実際に操作しながら理解を深め、日々の運用に積極的に活用してみてください。
5. お問い合わせ
現在Salesforceを効果的に活用できていない企業様や、これからSalesforceの導入を検討している企業様で、設定や運用、保守に関するサポートが必要な場合は、ぜひお気軽にご相談くださいませ!