みなさん、こんにちは!
Salesforceエンジニアの森川です。
今回のテーマは、Salesforceの「主従関係・参照関係」です。
主従関係・参照関係の概要から、その重要性、そして設定方法まで、実践的な視点を交えて解説していきます。
主従関係・参照関係とは?
1. 主従関係・参照関係の定義
主従関係
主従関係は、親オブジェクト(主)と子オブジェクト(従)の間に密接で制約のある関連を定義するリレーションシップです。この関係では、子オブジェクトの存在が親オブジェクトに依存しており、親オブジェクトを中心に一元的なデータ管理を可能にします。Salesforceでは、主従関係を活用することで、データの整合性を高め、業務プロセスにおける明確な階層構造を構築することができます。
参照関係
参照関係は、親オブジェクトと子オブジェクトの間に緩やかな関連を定義するリレーションシップです。この関係では、子オブジェクトは親オブジェクトに依存せず、独立して存在することが可能です。Salesforceでは、参照関係を活用することで、柔軟なデータ構造を設計し、複雑な業務要件に対応できます。
特徴 | 主従関係 | 参照関係 |
---|---|---|
データの依存性 | 子オブジェクトは親オブジェクトに依存する | 子オブジェクトは親オブジェクトに依存しない |
削除の連動性 | 親オブジェクトの削除で子オブジェクトも削除 | 親オブジェクトの削除で子オブジェクトは削除されない |
積み上げ集計項目 | 利用可能 | 利用不可 |
親オブジェクトの変更 | カスタムオブジェクトにすでにデータが含まれる場合、不可 | 変更可能 |
最大の親設定数 | 2個 | 40個 |
2. 主従関係・参照関係の主要なメリット
主従関係
データの整合性と管理の容易さ
親オブジェクトの削除と同時に子オブジェクトも削除されるため、データの孤立を防げます。これにより、データの整合性が保たれ、管理が容易になります。
積み上げ集計項目によるデータ分析
親オブジェクトに子オブジェクトのデータを集計することで、営業やサポートの進捗状況をリアルタイムで把握できます。
セキュリティとアクセス制御の簡素化
子オブジェクトのセキュリティ設定が親オブジェクトに依存するため、複数のオブジェクトの権限設定が一元化され、管理が容易になります。
参照関係
柔軟なデータ設計
子オブジェクトが親オブジェクトに依存せず、独立して存在できるため、業務要件の変化にも対応できます。複数の親が必要なシナリオに適しています。
高度な設計対応
子オブジェクトが複数の親オブジェクトを参照できるため、複雑な業務要件に対応可能です。例として、1つの活動履歴を複数の取引先、商談、ケースに関連付けることができます。
細分化されたセキュリティ設定
子オブジェクトと親オブジェクトが独立してセキュリティ設定を持つため、チームやユーザーごとにアクセス権限を最適化できます。
3. 主従関係・参照関係のやり方
1. 主従関係の設定
設定をクリック
対象のオブジェクトを選択
今回はPropertiesオブジェクトを使用いたします。
主従関係を選択
主従関係を設定していない場合は「積み上げ集計」は参照のみとなっており、選択不可となっております。
関連先オブジェクトを選択
今回は「Knowledge」オブジェクトを選択いたします。
項目名等記載いたします。
項目レベルセキュリティを設定いたします。
ページレイアウトの追加要否を確認いたします。
関連リストの表示ラベルを設定いたします。
完成
2. 主従関係の動作確認
主従関係のリレーション確認
主従関係が作成できているか実際に確認してみましょう。
積み上げ集計項目を確認
参照のみの設定が外れており、選択が可能となっております。
その上でその他の設定も行います。
積み上げ集計項目の種類
積み上げ集計項目で使用できる種類は「件数」「合計」「最小」「最大」の4つあります。
必要に応じて値を変えてください。
項目レベルセキュリティを設定いたします。
ページレイアウトの追加要否を確認いたします。
完成
問題なく積み上げ集計項目も作成できました。
3. 参照関係の設定
設定をクリック
関連先オブジェクトを選択
今回は「リード」オブジェクトを選択し、その他の設定も行います。
項目名等記載いたします。
項目レベルセキュリティを設定いたします。
ページレイアウトの追加要否を確認いたします。
関連リストの表示ラベルを設定いたします。
完成
4. まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事を通じて、Salesforceの主従関係と参照関係の定義、特徴、そして主要なメリットについて理解を深めていただけたかと思います。これらのリレーションモデルは、Salesforceにおけるデータモデル設計の基盤であり、それぞれの特性を理解し適切に活用することで、業務プロセスの効率化やデータ管理の最適化を実現できます。
さらに、外部参照関係や間接参照関係、階層関係など、他のリレーションモデルを適切に組み合わせることで、Salesforce環境をより柔軟で効率的に運用することが可能です。外部参照関係を使用して外部データソースと統合したり、階層関係を活用して組織の階層構造を明確化するなど、これらのモデルは業務の標準化やデータの正確性向上、さらには複雑なビジネス要件への対応を強化する力を持っています。
これらの知識を活用し、Salesforce環境の強化と業務プロセスの最適化を実現してください。
最後に、現在Salesforceを効果的に活用できていない企業様や、これからSalesforceの導入を検討している企業様で、設定や運用、保守に関するサポートが必要な場合は、ぜひお気軽にご相談くださいませ!
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