みなさん、こんにちは!
Salesforceエンジニアの森川です。
今回のテーマは、Salesforceの「共有ルール」です。
共有ルールの概要から、その重要性、そして設定方法まで、実践的な視点を交えて解説していきます。
共有ルール値とは?
1. 共有ルールの定義
共有ルールは、Salesforceにおけるデータセキュリティとアクセス権管理を柔軟に調整するための機能です。組織全体のデフォルト設定(OWD)で定めたデータアクセスの制約を緩和し、特定の「ロール」「ロール&下位ロール」「公開グループ」に対して、特定のレコードへの「参照のみ」または「参照・更新」権限を追加することができます。 これにより、Salesforce環境内で、必要な情報が適切なメンバーに確実に共有されることが保証されます。
共有ルールには、「所有者に基づくルール」と「条件に基づくルール」の2種類があります。これらを適切に使い分けることで、データの共有を効率的にコントロールでき、業務プロセスの柔軟な運用を支援します。
- 所有者に基づく共有ルール
特定のユーザーやロールが所有するレコードを、他のロールやグループと共有する際に使用します。例えば、営業チームが所有する商談データをマーケティングやカスタマーサポート部門と共有する場合に役立ちます。このルールを設定することで、営業チームは安全に他部門とデータを共有し、業務に必要な情報の円滑なやりとりが可能となります。 - 条件に基づく共有ルール
レコードのフィールド値(例:商談ステージや取引金額)に基づいて、特定の条件を満たすレコードのみを共有します。例えば、「商談ステージが提案済み以上」の商談をマーケティング部門と共有する場合、このルールが役立ちます。これにより、必要なデータだけを正確に共有し、重要な情報が適切な部門に届くようにすることで業務効率が向上します。
共有ルールを適切に設定・活用することにより、Salesforce環境内でのデータ共有は効率的かつセキュアに行われ、業務の透明性と効率性が向上します。 特に、異なる部門間での情報共有が必要な場面では、共有ルールを活用することで業務の円滑化と組織全体の生産性向上を実現できます。
2. 共有ルール主要なメリット
柔軟なアクセス制御
共有ルールを利用することで、OWD設定で制約されたアクセス権を柔軟に拡張することが可能です。これにより、必要な部門やチームにのみデータを共有し、不要なアクセスを制限することができます。特に、大規模な組織では、ロールやパブリックグループを活用して、アクセス制御を簡便に設定しながら、セキュリティを確保しつつ業務を効率的に運営できます。
セキュリティとコラボレーションの両立
共有ルールを適用することで、セキュリティポリシーを維持しながら、異なるチームや部門間での安全な情報共有が可能になります。特に、プロジェクトやチームが部門をまたぐ場合、情報共有のスピードが業務効率と意思決定の速さに直結します。Salesforceアドミニストレーターは、必要な情報を適切なユーザーに迅速に提供できるため、チーム全体の生産性向上に貢献できます。
管理の効率化
Salesforceのアクセス権管理を一元化し、個々のユーザーに手動で権限を設定する手間を大幅に削減できます。共有ルールを適用すれば、一度設定するだけで多くのユーザーに対して一括管理が可能です。特に、ユーザーの増加や組織変更が頻繁に発生する大規模な組織においては、効率的な権限管理が可能になり、管理者の負担が軽減されます。また、共有ルールはスケーラブルな管理方法を提供するため、成長する組織でも柔軟に対応できる環境を整えることができます。
3. 共有ルールのやり方
1. 所有者に基づく共有ルールの設定
グループを作成
今回は、わかりやすくグループを例に解説します。
事前にグループを作成いたします。
共有先のグループには、アクセス権をもらうユーザーを設定します。
共有するグループには、アクセス権を追加したいレコードの現在の所有者を設定します。
共有設定をクリック
クイック検索内にて共有設定と検索をします。
今回は商談レコードにて解説をしますので、商談オブジェクトの共有設定が「非公開」になっていることを確認してください。もし非公開になっていない場合は修正してください。
共有前のレコード数確認
リストビューを「すべての商談」にすると現ユーザーが所有者のレコードのみしか表示されていません。
共有設定配下の共有ルール新規作成
商談共有ルールの新規ボタンをクリックします。
ルールタイプは「レコード所有者に基づく」を選択
共有するグループが保有するレコードを共有されるグループに共有する設定をします。
また、アクセスレベルは参照のみとします。
2. 動作確認
商談レコード確認
共有するグループのユーザーにアクセス権が付与されていることが確認できました。
アクセスレベル確認
商談レコードの商談名を編集し保存ボタンをクリックしてみましたが、編集権限がないため、エラーとなりました。
アクセスレベルを編集
アクセスレベルを参照のみから参照・更新に変えてみます。
アクセスレベル確認
先ほど編集ができなかった商談名を編集できました。
3. 条件に基づく共有ルールの設定
ルールタイプは「条件に基づく」を選択
共有するグループが保有するレコードを共有されるグループに共有する設定をします。
4. 動作確認
商談レコード確認
共有するグループのユーザーに先ほど設定した条件に基づいてアクセス権が付与されていることが確認できました。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
この記事を通じて、Salesforceの「共有ルール」の概要、そのメリット、そして効果的な活用方法について理解を深めていただけたと思います。
共有ルールは、Salesforceでのデータアクセス管理において非常に強力なツールです。所有者に基づくルールや条件に基づくルールを活用することで、特定のユーザーやグループに対して適切にアクセス権を付与し、セキュリティを保ちながらも業務の効率化を実現できます。また、柔軟なアクセス制御、セキュリティとコラボレーションの両立、管理の効率化といった3つの主要なメリットを得られるため、組織全体での生産性向上にも大きく貢献します。
さらに、共有ルールの命名規則や権限の最小化、定期的な見直しといったベストプラクティスを取り入れることで、システム運用の最適化と継続的なセキュリティ維持が可能になります。
Salesforceを最大限に活用するために、ぜひ共有ルールを活用し、効率的で安全なデータ管理を実現してください。
最後に、現在Salesforceを効果的に活用できていない企業様や、これからSalesforceの導入を検討している企業様で、設定や運用、保守に関するサポートが必要な場合は、ぜひお気軽にご相談くださいませ!
お問い合わせはこちらをクリック!